「カントリーハウス」でのエコロジーの試み

カントリーハウス(いなかの家)
外観 リビングルーム ロフト
 ■エコロジーについての考え
 昔の日本家屋では、夏期を快適に過ごす事を基本とし、冬期は局
部的暖房(こたつ、いろり、火鉢等)でひたすらに耐えるという家
造りであった。今回は『四季を通して快適に過ごす』為に、輻射暖
房(床暖房)を冬季のメインシステムとし、夏は上昇気流を活かす
事による自然換気で快適に過ごせる事を心がけ、夏も冬もエアコン
は補助的な位置付けとしている。

2階に吹抜けの大空間を持っている為、特に冬季は室内の温度を上
げる空調では、上下の温度差が大きくなり不快感がある。室内温度
差を出来るだけ小さくし、自然で快適に過ごす為には輻射暖房(床
暖房)が最も適している。

また、少ないエネルギーで充分な成果を得る為に、高断熱・高気密
にすると共に室内の換気については、一年を通して自然を利用した
換気システムとしている。(風の道の確保)

 又、筋交いにプラスして床用構造用合板(接着剤併用)を補助的
耐震壁として採用した上で、通気層を確保しモルタル外壁の在来工
法では珍しい高通気性と共に高耐震性も確保している。

今回外壁モルタルのクラックを防止する工法として初めて採用した
が、20年近く経過した今もまったくクラックは生じていない。

 また、雨水を有効利用する為、土留め擁壁を兼ねた雨水槽(約1
t)を設け、屋根の雨水を貯めて植裁散水用や非常用水として利用
している他、近年にはソ−ラ−発電装置も設置し、より低炭素住宅
となった。

 妻からひと言

一番嬉しかった事は、壁や材料から化
学的な臭いがまったく無かった事で
す。吹抜けの居間にはむき出しの木が
沢山使われているので木の匂いがし
て、ずっと昔からここに住んでいる様
な気持ちになります。

 又、東西南北、窓の位置がバランス
よく配置してあり、どの向きから吹い
た風もうまく流れる様工夫されていま
す。特にキッチンから階段ホールが見
える透明の片開き窓は開放感があり、
風の道としては脇役ではなく主役とい
った感じです。

 空気の流れ、外壁の換気


上部外壁換気

軒下外壁換気

下部外壁換気



テーマは「カントリーハウス」
 
 かつて私達が過ごした「いなかの家」では、季節の
移り変わり、それに伴う人々の移り変わりがリアル
タイムで感じられたし、冠婚葬祭の度に人々が集え
る場所と時間を共有していた。時間はゆっくりと流
れ、旅人や飛び交う小鳥にさえ気遣う余裕があっ
た。

 今、人々はただ自分が生き延びる事だけに窮々と
し、重苦しいストレスに囲まれ、くたくたになって
生きている。そういう時代の中でもう一度、昔の
「いなかの家」の良さを持つ住宅を作りたいという
所からこの計画はスタートした。

 施主は、「私(夫)と妻・妻の母親の三人家族」
と「妻の妹家族(夫、妻、長男)の三人家族」の住
む三世代ハウスである。両棟共、一階に寝室等のプ
ライベールームを配し、二階にパブリックスペース
を取り、ロフトには多目的に使われる和風スペース
を確保している。最近、妻側の家族との同居のパタ
ーンが増える傾向にあるが、適度な距離を保つ為、
内部では直接行き来出来ないようにし、共用の屋外
テラスを介してコミュニケートする形とした。

 又、地域とのコミュニケーションが自然に生まれ
るようにアプローチには門扉等のバリアーは設けず
開放的にした。

半地下階に独立型の多目的スペースと収納スペース
を取り、地域との様々な関わりの場が確保出来るよ
うにした。(現在は、母親、妻姉妹で書道教室を主
催し妹の夫は太極拳教室を主宰しそれぞれの特技や
趣味を生かした活動にと大切な場となっている。

 今回の計画に当ってまず心掛けた事は、家族の中
にアトピー性やアレルギー性等、環境に敏感な者が
多い為、自然素材を多用しエコロジーに配慮した建
物にする事。

次に高耐震性能と高通気性を在来木造で確保すると
云う当時では珍しい工法を試みた。建物が健康であ
れば、そこに暮らす人々も健やかでいられるとの思
いで、出来るだけ自然の素材を使い呼吸をする健康
な家造りを心掛けた。実際住んでみて空気が純粋に
感じられる等良好な結果が出ている。

 自然の素材から作られた仕上げ材は、やはり人に
やさしい。そしてやがて取り壊されても自然に戻れ
る材料で作っていく事がこれからの建築には求めら
れている。そして、そういう素材は結果として人に
「やすらぎ」を与えてくれる。



平面図
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